スマートフォンと自動車を連携させる通信ソリューション向けの技術を推進する業界団体「Car Connectivity Consortium(CCC)」が、超広帯域無線(UWB:Ultra-WideBand)に関する非営利団体であるFiRa Consortiumと連携し、UWBを用いた自動車用デジタルキーの標準規格策定に向けたワーキンググループを立ち上げました。
UWBに対応するApple Car Keyが、多くの自動車メーカーの車両で利用できるようになる見通しです。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. AppleはBMWと協業し、UWB対応Apple Car Keyを「BMWデジタルキー・プラス」として提供している。
2. 自動車用のUWB対応デジタルキーの業界標準規格策定に向けて、ワーキンググループが立ち上がった。
3. 新規格は、MagSafeをもとにしたQi2のように、「BMWデジタルキー・プラス」をベースに開発される可能性が高い。
UWBを用いたデジタルキーは、BMWデジタルキー・プラスがベースになる?
UWBを用いた自動車用デジタルキーの標準規格は、デジタルキー3.0規格として2021年末にも策定される予定でしたが、大幅に遅れていました。
その間にAppleは、UWB対応デジタルキーの普及に向けてBMWとの協業を強化し、UWB対応Apple Car Keyを、「BMWデジタルキー・プラス」として導入を進めています。
この度、CCCとFiRa Consortiumのワーキンググループが立ち上がったことにより、業界標準規格の策定に向けて迅速に検討が進むと考えられます。
CCCには、Apple、Samsung、Xiaomiとほぼ全ての自動車メーカーが、FiRa ConsortiumにはApple、Google、Cisco、Samsung、Qualcommなどが加盟しています。
AppleはCCCとFiRa Consortiumのいずれにも加盟しており、ワーキンググループを主導するのもAppleのワイヤレス通信関係のエンジニアであることから、UWBを用いた自動車用デジタルキーの標準規格策定に向けた議論は、「BMWデジタルキー・プラス」の技術をベースに進むと予想されます。
こうした動きは、MagSafeワイヤレス充電技術をもとに開発されたQi2にも似ています。
iPhoneをポケットに入れたままでロック解除とエンジン始動実現
UWBによるApple Car Keyが利用可能になれば、ユーザーはUWBチップを内蔵したiPhoneを身に着けているだけでよく、ロック解除する際にiPhoneをドアノブに近づける必要すらなくなります。
また、UWBによるデジタルキーは近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)によるそれよりもハッキングが難しくなる見通しで、車両盗難予防にも効果的と考えられます。
UWBによるApple Car Keyが普及すれば利便性が向上するだけではなく、日本国内で盗難例が多いトヨタ・ランクルなどの盗難防止、スマートキーのハッキング防止に効果を発揮すると期待されます。
Source:The Verge via Supercharged
Photo:BMW
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Source: iPhone Mania
UWB対応デジタルキー標準化へ、AppleとBMWが先陣