2023年3月末に経営破綻したJOLEDのインクジェット印刷方式有機EL(OLED)ディスプレイパネル製造装置を活用し、中国TCL CSOTが2024年下半期(7月〜12月)にOLEDディスプレイパネルの量産を開始すると、韓国メディアThe Elecが報じました。
JOLEDが軌道に乗せることができなかったインクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネルのビジネスに関し、資本力を背景にTCL CSOTがものにできるのか注目されます。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. TCL CSOTが、経営破綻したJOLEDのインクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネル製造装置を活用し、来年後半に量産を開始すると発表。
2. TCL CSOTは、iPadやMacBook用OLEDディスプレイの受注に向けて活動中と噂。
3. JOLEDから買収した製造装置も活用し、第8.5世代OLEDディスプレイパネルを製造する可能性がある。
JOLEDが有効活用できなかった製造装置で量産目指す
TCL CSOTが2023年12月7日、経営計画カンファレンス(DTC2023)で、JOLEDのインクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネル製造装置を活用し、2024年下半期(7月〜12月)にOLEDディスプレイの量産を開始すると発表しました。
インクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネルは、Samsung DisplayやLG Displayが採用する真空蒸着方式と比べて材料を有効活用でき、大画面ディスプレイパネル製造に有利と期待されていました。
しかし、JOLEDは歩留まり率の改善に苦慮、製造した第5.5世代OLEDディスプレイパネルの採用も一部に留まっていました。
AppleからのOLEDディスプレイ受注を目指した動きの一環か
TCL CSOTが製造を開始する予定のインクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネルは、IT製品および医療機器用ディスプレイパネルとして供給される見通しです。
TCL CSOTは自社独自のインクジェット印刷方式OLEDディスプレイパネルの製造計画も持っており、それらも含めて第8.5世代OLEDディスプレイパネルを製造するとみられています。
第8.5世代OLEDディスプレイパネルは将来的に、MacBook Proおよび2026年モデルのiPad miniとiPad Airが採用する可能性があります。
TCL CSOTはAppleからのOLEDディスプレイ受注を目指しているとの報道もあったことから、今回の装置買収もそれを目指す動きの一環かもしれません。
JOLEDを巡っては、TOPPANホールディングスが能美事業所を取得して半導体の開発および製造拠点としての整備を目指すことが発表されるなど、痕跡が消え去ろうとしています。
Source:The Elec
Photo:Apple Hub/X
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Source: iPhone Mania
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