Apple AシリーズとMシリーズを製造するTSMCは、2025年に2nmプロセスでの半導体製造を開始するとの噂があります。
一方、ライバルであるSamsungは3nmプロセスでの半導体製造ラインの歩留まり率が低く、TSMCと同じ時期に2nmプロセスでの半導体製造を開始しても低い歩留まり率に苦慮することが懸念されます。
こうした状況で、2nmプロセスで製造されるApple AシリーズとMシリーズは我々ユーザーに恩恵をもたらすのか、現状から考えてみました。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. TSMCは、2025年に2nmプロセスでの半導体製造を開始すると噂されているが、それが一般的なユーザーに恩恵をもたらすのか考えてみた。
2. 2nmプロセスで半導体製造を行った場合の利点と欠点を確認。
3. 製造プロセス微細化によるダイサイズ縮小=製造コスト削減を期待したいが、そうならないだろう。
2nmプロセスで想定される利点と欠点を考えてみた
最初に筆者の感想を記載すると、2nmプロセスでのApple AシリーズとMシリーズ製造における利点と欠点として予想されるのは下記の項目です。
2nmプロセスで想定される利点
- 製造プロセス微細化によるダイ面積縮小
- 消費電力低減
- 動作周波数向上による性能改善
- 同じダイ面積であれば、搭載できるトランジスタ数が増加
- 増加したトランジスタを活用し、人工知能(AI)対応を強化
- ユーザーにとって、使い勝手が向上する
2nmプロセスで想定される欠点(懸念)
- これまでの経緯から、ダイ面積縮小によるコスト削減が期待できない
- 製造プロセス微細化の効果は、ダイ面積縮小ではなくトランジスタ増加に活用
- ますます製造コストが高くなる
- 最終的に、製造コスト上昇分は販売価格に転嫁される
- ベンチマークスコアでは差が出るだろうが、実使用環境でそこまで求めるユーザー数は何%?
- AIの活用がユーザーの使い勝手向上にどの程度寄与するか不明
2年後もTSMCは強気の価格設定を維持、円高も期待できないと予想
このように予想される欠点や懸念を呈しても、間違いなくApple AシリーズとMシリーズの製造プロセスは2nmに移行するでしょう。そして、製造コストは確実に高くなり、Appleへの卸価格も年々高くなるのは間違いないでしょう。
日本の場合はそれに加えて為替レートの問題があります。現状を鑑みると、リーマン・ショックのような大事件でもおきなければ、1ドル100円前後の円高に回帰することはないでしょう(かなり期待薄)。
TSMCのライバルであるSamsungや、最先端プロセス開発では今やライバルか微妙な立場になっているIntelが開発の遅れをキャッチアップできれば、卸価格決定権についてTSMCが現在ほど強気でいることは難しいと考えられます。
しかし、残念ながら現状を鑑みると、2年後までにこうした状況が劇的に変化することはないように感じます。
筆者は、毎年新製品を購入するのを断念
消極的解決策として筆者は、日々の使い勝手には十分な、一年遅れでのデバイス更新および低位モデルの購入に切り替えました。
今年は、iPhone15 Proシリーズ発売後に、iPhone14 Proシリーズの未使用品をユーズドショップで購入しましたが、全く不満はありません。
また、Intelプロセッサ搭載13インチMacBook Pro(2020)の後継機として、M3搭載14インチMacBook Proをカスタマイズし、到着するのを待っている状況です。
Photo:Apple Hub/Facebook
(FT729)
Source: iPhone Mania
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