Appleが、Apple Musicで公開される空間オーディオ対応楽曲に対して支払うロイヤリティーを2024年から増額する、とBloombergが報じています。ライバルで業界最大手のSpotifyが未対応の空間オーディオの楽曲を増やし、ユーザーを囲い込む戦略のようです。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleが空間オーディオ対応楽曲へのロイヤリティー支払いを増額と報道。
2. ユーザー数最大のSpotifyが非対応の空間オーディオ対応楽曲で差別化の方針か。
3. ロイヤリティー増額の対象は新作だけでなく、過去作品も対象。
Apple Musicの差別化に役立つ空間オーディオ
Appleは、2021年6月からApple Musicでドルビーアトモスの空間オーディオに対応した楽曲の配信を開始しています。Apple Music会員は、追加料金なしで空間オーディオやハイレゾロスレスのコンテンツを再生できます。
空間オーディオに対応した楽曲は、音に囲まれているような立体的な効果を感じることができ、特にAirPods Proなどのイヤホンで再生すると、その効果を顕著に感じることができます。
現在のところ、空間オーディオに対応している主要音楽ストリーミングサービスはApple MusicとAmazon Music Unlimitedで、ユーザー数トップのSpotifyは非対応です。
ダイナミックヘッドトラッキングが利用できるiPhoneやAirPods Proなどにユーザーを囲い込みたい意図もあるとみられます。
新作だけでなく過去作品もロイヤリティーを増額
Appleが、空間オーディオ対応でミキシングされた楽曲の再生に対して支払うロイヤリティーを2024年から増額する、と事情に詳しい複数の関係者からの情報としてBloombergが報じています。
10月には、音楽情報メディアのDigital Music Newsも、Appleが2024年から空間オーディオ対応コンテンツへのロイヤリティーを増額するとのリーク情報を報じていました。
ユーザーが空間オーディオ対応楽曲を再生すれば、空間オーディオがオンになっていなくても、アーティストやレーベルには増額されたロイヤリティーが支払われます。
匿名の関係者は、楽曲を空間オーディオに対応させるミキシングは、低コストで実施可能と語っています。
ロイヤリティーの増額は、新作だけではなく公開済みの過去作品も対象で、Appleとしてはアーティストや音楽レーベルの空間オーディオ対応を後押しする方針です。
Apple Musicの空間オーディオはAndroidデバイスでも再生できますが、iPhoneとAirPods Proの組み合わせによるダイナミックヘッドトラッキングで、空間オーディオの没入感をさらに感じることができます。
空間オーディオに慣れると非対応音源に物足りなさ感じるように
筆者はAirPods Pro(第1世代)の発売からAirPods ProとiPhoneの組み合わせでApple Musicを利用していますが、空間オーディオ対応楽曲の迫力に慣れてしまうと、一般的なステレオサウンドが少々物足りなく感じてしまうようになりました。
Apple Musicでは、空間オーディオ対応楽曲をまとめたプレイリストや、空間オーディオに対応した過去作品が数多く公開されています。
iPhone Maniaでは、Apple Musicの空間オーディオを各種オーディオ機器で再生した体験レポートや、空間オーディオ対応楽曲を再生した場合のモバイルデータ通信量の比較実験記事も公開しています。
Apple TV+では、空間オーディオ対応のAppleオリジナル映像作品が数多く公開されています。
ちなみに、事前収録映像の配信が定着した最近のAppleの新製品発表イベントも、Apple TVアプリでは空間オーディオで音声が配信されています。筆者は、空間オーディオ音声でイベントを視聴しながら速報記事を書いています。
Photo:Apple
(hato)
Source: iPhone Mania
Apple Music、空間オーディオ楽曲への権利料増額!Spotifyと差別化へ