Appleは米国際貿易委員会(ITC)の輸入禁止措置を受け、米国のオンラインストアで「Apple Watch Series 9」および「Apple Watch Ultra 2」の販売を停止しました。現地時間2023年12月24日には、米国の直営店でも両モデルの販売が停止されます。この措置は、血中酸素濃度を計測するパルスオキシメーターを巡る医療機器メーカーMasimoとの特許紛争が原因です。
なお、輸入禁止措置が発効される12月25日以降、血中酸素濃度センサーを搭載した保証対象外のApple Watch Series 6以降およびApple Watch Ultra以降の修理・交換ができなくなります。血中酸素濃度センサーが搭載されていない「Apple Watch SE」は対象外です。
■3行で分かる、この記事のポイント
1.Apple Watch Series 9/Ultra 2の米オンラインストアでの販売停止。
2.輸入禁止措置発効後、Apple Watch Series 9/Ultra 2の修理も不可に。
3.輸入禁止措置を受け、今後のApple Watchの売上高にどう影響が出るのか。
修理・交換が不可。ソフトウェアで可能なサポートは提供
Appleは通常、Apple Watchの故障について個々の部品を修理するのではなく、壊れたユニットを新しいモデルに交換して対応しています。顧客はApple Watchを交換できなくなりますが、ソフトウェアで可能なサポートは提供するということです。
また、保証期間内のApple Watchは交換可能です。これには、デバイスを新品で購入すると標準で付帯する「Apple製品1年限定保証」とAppleCareの延長保証で保護されたデバイスの両方が含まれます。また、バンドなどの付属品の交換や返品は可能だということです。
12月25日までにホワイトハウスが介入し、拒否権を発動すればAppleは輸入禁止命令を覆すことができます。また、同社が特許技術のライセンス料をMasimoに支払うことで紛争を解決するか、侵害する特許技術を使わなければ販売停止を回避することができるでしょう。しかし、Appleは現在、血中酸素濃度を計測する機器のアルゴリズムの修正に取り組んでおり、ソフトウェアを修正することで特許侵害を回避することができると考えているようです。
なお、直営店での販売は停止されますが、Best Buy、Target、Walmartのようなサードパーティーの小売店での販売は、供給がなくなるまで続く見通しです。
販売停止によるApple Watchの売上高への影響は
今回の米国における輸入禁止措置は、日本を含む米国以外の販売に影響はないものの、Appleにとって最も重要だと言えるホリデーシーズンの売上高に少なからず影響を与えると予想されます。特に、Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2は今年9月に販売が開始されており、この2モデルの売上高は、2024年度第1四半期(2023年10月〜12月)に主に反映されることとなります。
2023年度第1四半期(2022年10月〜12月)のApple Watchを含むウエアラブル・ホーム・アクセサリー部門の売上高は、134億8,200万ドル(約1兆9,191億円)で、前年同期比で8%減となりました。
販売停止を見越した駆け込み需要が増えれば、次期決算にそこまで影響はないかもしれませんが、販売停止の期間が長引けば次期決算以降の収益に大きな影響が出ることは明らかです。
また、売上高だけでなくApple Watch Ultra 3など新しいモデルの開発にどのような影響が出てくるのか、そしてAppleがどう対策を講じるのかに注目が集まります。
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Source: iPhone Mania
Apple Watch Series 9/Ultra 2が米国で販売停止、修理も不可