Appleは、iPad Pro(M4)の広告動画が批判を集めたことに謝罪し、テレビでの広告放映を取りやめると発表しました。巨大なプレス機が楽器や彫刻などを破壊し、iPad Proに変化する動画に対しては、多くの批判が寄せられていました。
楽器や彫刻を巨大プレス機で破壊する動画に批判続出
AppleはiPad Pro(M4)の発表にあわせて、プロモーション動画「Crush! 」を公開しました。
動画はトランペットやピアノやギターなどの楽器、ペンキ缶、彫刻、ゲーム機、テレビなどが巨大なプレス機によって押し潰されていく様子が描かれています。
プレス機から煙が出た後、M4プロセッサを搭載し5.1ミリの薄さを実現したiPad Proが残り「史上最もパワフルで、最も薄いiPad」のナレーションが流れます。
Apple社内の広告チームが制作したこの動画に対しては、多くのクリエイターからも批判の声があがっていました。
Apple「的外れだった」と謝罪、TV放映も中止
Appleのマーケティングコミュニケーション担当副社長であるトア・ミレン氏は、広告メディアAd Ageに対して以下のコメントを発表し、謝罪しています。
創造性はAppleのDNAであり、世界中のクリエイティブに力をもたらす製品をデザインすることは非常に重要です。
私たちの目標は、ユーザーがiPadを使って自身を表現し、アイデアを形にする無数の方法を常に賞賛することです。この動画は的外れでした。申し訳ありません。
Appleは、この広告のテレビ放映計画を取りやめると発表しています。
約1分間の広告は、現在も米Appleの公式YouTubeで視聴できますが、Apple JapanのYouTubeチャンネルでは公開されていません。
iPad Pro(M4)発表直後に公開されたティム・クック最高経営責任者(CEO)のXの投稿からも再生可能です。
App Storeの法規制やAI批判の中、タイミングも悪かった?
Appleの広告キャンペーンは、権威ある賞の受賞など高く評価されたものが多く、Appleの広告がここまでの批判を集めることも、Appleが広告について謝罪することも、かなり異例のことです。
筆者はiPad Pro(M4)発表の速報記事執筆中に公開された動画を観て、インパクトは感じたものの、どこか後味が悪いな、という印象を持っていました。Xなどでの批判的な声を見て、同様の感想を持つ方が多いと思っていたところ、Appleの公式謝罪という事態に至りました。
おりしも、App Storeの独占的な影響力に対してヨーロッパや日本で法規制が進んでいるほか、人工知能(AI)による文章や音楽や絵画などの盗用などに対する批判も巻き起こっている中で、この広告はタイミングも悪かったとも言えそうです。
Source: Ad Age
Photo: Apple/YouTube
Source: iPhone Mania
Apple、iPad Proの広告炎上で謝罪!テレビ放映を中止