2年前、米メリーランド州タウソンにあるApple Storeの従業員は労働組合結成に賛成票を投じ、米国で初めて労働組合が結成されたApple直営店となりました。そして今回、Apple Towson Town Centerの従業員らは、「Appleの経営陣との1年にわたる交渉で、満足のいく結果を得られなかった」ことを受け、ストライキを承認したことが明らかとなりました。
ストライキの日程は現時点では不明
タウソンのApple Storeの従業員らは現地時間5月11日の夜遅く、ストライキを承認することに賛成票を投じました。今のところ、ストライキの日程は決まっていません。国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)に属する組織小売従業員連合(IAM CORE)は、「労働停止の可能性がある日付は、将来のある時点で決定される」と述べています。
同組合は、プレスリリースの中で次のように説明しています。
国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)の組織小売従業員連合(IAM CORE)の組合員は、メリーランド州タウソンにあるApple直営店でのストライキを承認することに圧倒的多数で賛成票を投じました。この投票は、未解決の職場問題に対する労働者の不満を強調するものです。ストの日程は、IAM COREによって決定されます。
労働組合を結成した2店舗、Appleとは契約上の合意に至らず
メリーランド州とオクラホマ州にあるApple Storeは、2022年に労働組合結成を投票で決めましたが、どちらの店舗もAppleとの契約上の合意には至っていません。また今週、ニュージャージー州のApple Storeは、労働組合結成に反対票を投じ、敗因はAppleの戦術にあると非難しました。
ボルチモア市近郊のタウソンにあるApple Storeの従業員らは、ストライキを承認する投票が「Appleに明確なメッセージを送る」ことになるのを期待していると述べています。Appleの広報担当者は声明の中で、従業員に「素晴らしい体験」を提供する同社の取り組みを強調しました。
「当社はチームメンバーを大切にしており、業界をリードする報酬と優れた福利厚生を提供できることを誇りに思っています。これまで通り、私たちはタウソンのチームを代表する労働組合に敬意と誠意を持って関わっていきます」と同社は述べています。
Appleは組合化阻止に動く
Appleは、Apple Storeの組合化を防ぐ試みの一環として、組合のない同社の小売店の従業員に向けての「新たな従業員特典」を発表しました。しかし、タウソンの従業員にはこの特典を提供しない方針を発表し、同店の従業員は、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)に対して、「失望した」と手紙で非難しています。
そのほか、ミズーリ州セントルイスのApple Storeは、Appleからの圧力で組合化を断念、ジョージア州アトランタの小売店でも組合結成の動きがありましたが、Appleが違法行為を繰り返したため、自由で公正な選挙ができなくなったとして、投票の中止が発表されました。
また、オハイオ州のApple Storeに関しては、経営陣がコントロールする従業員グループをAppleが立ち上げ、同店舗での労働組合の結成を妨害したとも報じられています。これ以外にも同社は組合化阻止のため店舗マネージャーに対策ガイドを配布するなど、組合結成阻止のため、様々な対策を講じています。
このように同社は組合化阻止に動いているため、労働組合が結成されたメリーランド州とオクラホマ州の店舗の従業員が求める条件を簡単に飲むわけにはいかないのかもしれません。
IAM COREがストライキを承認したことで、今後、Appleが同組合の条件を飲み、ストライキを阻止することができるのか注目が集まります。
Source:Bloomberg,9to5Mac via IAM
Source: iPhone Mania
米メリーランド州のApple Store従業員、労働条件をめぐるストライキ承認に投票