心拍数に異変を感じていた妊婦が、Apple Watchで心電図(ECG)を測定してみたところ「判定不能」という結果が出ました。心臓発作につながる恐れのある異常の発見につながり、緊急帝王切開で無事に出産できました。医師は、Apple Watchなどの測定結果を診察に活用することが有益である一方、自己判断せず、医師の診察を受けるよう警鐘を鳴らしています。まもなく公開されるwatchOS11では、妊娠中に有益な機能が追加されます。
Apple Watchの心電図アプリが示した「判定不能」
小児循環器医として勤務し、心臓病の子どもたちの治療にあたっているレイチェル・マナロさんは、妊娠18週だった2022年初めに、心臓がドキドキしたり落ち着いたりするのが繰り返され、疲労感や息切れ、めまいといった症状に見舞われはじめました。
妊娠33週目に、心臓の鼓動が速い状態が続くことに違和感を覚えたレイチェルさんは、Apple Watchの心電図機能を使って、心電図を測定しました。
Apple Watchが示した測定結果は「判定不能」でした。Apple Watchの測定結果が「判定不能」となるのは、心電図アプリが分類できない不整脈や心臓疾患の兆候を示している可能性を示しています。
通常の心拍数は1分間に60回〜100回の範囲ですが、その時のレイチェルさんの心拍数は1分間に150以上の状態が40分以上にわたって続いていました。
心臓の動きに異常発見、帝王切開で無事出産
検査の結果、レイチェルさんの心臓は、心臓の下部がうまく動かず血液に十分な酸素が供給できていないことがわかりました。彼女の心臓には、彼女自身とお腹の赤ちゃんの2人分の血液を送り出すため、過度な負荷がかかっていました。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学病院のグェン医師は、対処しないと心臓発作につながる可能性があると指摘しました。
通常分娩を希望していたレイチェルさんでしたが、心臓が通常分娩には耐えられないとの医師の判断により、34週で緊急帝王切開の手術を受け、無事に出産を終えました。
レイチェルさんは出産後、心臓の投薬治療と小規模な手術を受け、元気に生活しています。1,956グラムで生まれてきたサマンサちゃんは現在2歳で、陽気で気が強いそうです。
患者自身でのデータ解釈に医師が警鐘「異常見つけたら専門医の診察を」
レイチェルさんを診察したグェン医師は、Apple WatchやFitbit、Ouraリングなどのスマートデバイスから得られる情報の医療への活用の専門家です。
スマートデバイスを使うことで、日常生活を送っている時の心拍数や血圧などが分かることは、妊娠期間の健康管理を大幅に変える可能性がある、と語るグェン医師は、患者全員にスマートデバイスを装着して全てのデータを提供してほしい、とも述べています。
同時に、患者自身がデバイスから得た測定データを解釈するべきではない、と強調しています。
デバイスから得られるデータは、症状があることを示すものの診断にはならない、と語るグェン医師は、異常を発見したらWeb検索などで解釈するのではなく、医師の診断を受けてほしい、と訴えています。
以前にも、妊娠中に心拍数急上昇の通知を受けた妊婦が、早めに医師の診察を受けた結果、母子ともに助かったニュースをお伝えしています。
watchOS11では妊娠中の健康状態観察機能を追加
近日中の正式版公開が見込まれるwatchOS11では、iPhoneやiPadの「ヘルスケア」アプリに妊娠中であることを登録すると、妊娠中の健康状態を確認しやすくなる新機能が追加されます。
Apple Watchの心電図機能は、Apple Watch Series 4以降の各モデル(Apple Watch SEを除く)で利用可能です。
なお、watchOS11は、Apple Watch Series 4とApple Watch Series 5がサポート対象外となっています。
Source: iPhone Mania
Apple Watchの心電図が妊婦の異常を発見!緊急出産で母子の命を救う