iPhone15シリーズで、バッテリー充電の上限を80%に設定可能として導入された機能が進化し、先日公開されたiOS18では、バッテリー充電の上限を80%〜100%まで5%刻みで設定可能となっています。バッテリー劣化の軽減を目的としたこの機能に、充電切れのリスクを負うだけの効果はあったのか?米メディアMacRumorsが検証しています。
iPhone15で80%上限導入、iOS18で5%刻み設定可能に
2019年9月に公開されたiOS13では、iPhoneのバッテリーが完全に充電されている時間を減らすことでバッテリーの劣化速度を低下させる「バッテリー充電の最適化」が導入されました。
そして2023年に発売されたiPhone15シリーズでは、バッテリーの充電上限を80%に設定可能となりました。
そしてiOS18とiPhone15以降のモデルの組み合わせでは、充電の上限を80%〜100%の間で5%刻みで設定可能となりました。
この情報は、「設定」アプリの「バッテリー」で確認・設定できます。
1年間、充電上限80%で過ごした結果は
意識せずにバッテリーの充電上限を80%に設定していて、外出先でバッテリー残量不足した経験のある方もいるのではないでしょうか。
米メディアMacRumorsのジュリ・クローバー氏は、2023年9月の発売当時からiPhone15 Pro Maxの充電上限を80%に設定したまま1年間、使い続けました。充電方法は有線:MagSafeが7:3の割合で、自宅での充電環境は摂氏22度前後だったそうです。
何度か外出先でバッテリー切れを経験したり、モバイルバッテリーを持ち歩くことに手間も感じたりしながら、1年間使ったクローバー氏のiPhone15 Pro Maxの現在のバッテリー最大容量は新品時の94%で、充放電回数は299回だそうです。
ちなみに、2〜3カ月前までは97%以上を維持していたものの、急激に低下したのだとか。
充電上限を設定しない同モデルとの違いは?
クローバー氏と同じiPhone15 Pro Maxを、充電上限を設定せずに使っているMacRumorsのスタッフ2人のバッテリー状態は以下のとおりだったそうです。
- 最大容量:87%、充放電回数:329回
- 最大容量:90%、充放電回数:271回
充電上限を80%に制限していたクローバー氏のiPhone15 Pro Maxと、制限を設けなかった同僚たちとの間に、あまり大きな違いはみられません。
この結果についてクローバー氏は、80%に制限する効果は1年ではなく2年、3年後に分かるのかもしれないが、iPhone16 Pro Maxで充電上限80%の設定を維持しているが今後も続けるかはわからない、とコメントしています。
iPhoneの充電上限、設定するべき?
ちなみに、筆者の家族が使っているiPhone15 Proは、バッテリー充電の最適化のみで上限80%は設定せずに1年間使って充放電回数350回で、最大容量は93%でした。
筆者の場合は、2022年に使い始めて、MagSafe充電を多用していたiPhone14 Proのバッテリー最大容量が2年間で78%になり80%を下回ったため、AppleCare+の保証切れ目前に無償交換を受けた経験があります。
iPhone16シリーズでは、バッテリー持ちが従来モデルよりも大幅に改善されている一方、iPhone16 ProとiPhone16 Pro Maxでは、保証対象外のバッテリー交換料金が他モデルよりも高くなっています。
iPhoneを長期間使いたい方で、外出先でも充電方法を確保できる場合は、充電上限を設定しても良いかもしれません。
逆に、2年以内での買い替え(あるいはキャリアへの返却)を予定していて、外出先でのバッテリー切れが心配な方は、充電上限を設定せずに使ったほうが良さそうです。
Source: MacRumors
Photo: Apple
Source: iPhone Mania
iPhone15から1年。バッテリー充電上限80%に効果はあったのか?