総務省の規制により、携帯キャリアでのiPhoneなどスマートフォン価格がさらに高くなりそうです。これは、数年後の端末買い取り額を高く設定することによる値引きが、ユーザーの囲い込みに当たると問題視したガイドライン改正によるものです。改正ガイドラインは12月26日から適用されます。
パブコメには携帯各社などが意見を提出
総務省は12月5日、構成な競争の促進を目的とした「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正を発表しました。
今回の発表に先立ち、10月から11月にかけて改正案に対する意見募集(パブリックコメント)を実施し、携帯キャリア4社などが意見を提出していました。
将来の買取価格を高く設定することを禁止
今回のガイドライン改正は、携帯キャリアがスマートフォンを2年後などに回収する金額を規制するものです。これによって、「iPhoneが実質24円」など大幅な割引価格での販売が難しくなります。
現在は、将来の下取り価格を各キャリアが独自に設定して、販売価格と下取り額との差額を分割で支払うことで、ユーザーの実質負担額を抑える販売手法が定着しました。
総務省は、潤沢な資金を持つ携帯キャリアが下取り価格を高く設定する販売手法が、ユーザーの囲い込みに該当し、公正な競争促進のうえで問題があると指摘しています。
端末買取価格は下落、ユーザーの負担額は増加へ
改正ガイドラインの規制により、各キャリアは端末販売価格を設定する際は、中古端末買取・販売の業界団体である一般社団法人リユースモバイル・ジャパン(RMJ)がWebサイトで公開している、買取価格情報に基づいて設定することとなります。
RMJには、ブックオフ、ゲオ、ソフマップ、イオシスなど、23社が正会員として登録されています。
中古端末買取の相場価格はビジネスモデルの構成上、各キャリアが設定していた将来の買取価格よりも低くなる傾向にあるため、結果として、同じ販売方法でスマートフォンを購入した場合、ユーザーが支払う金額は増えることとなります。
新ガイドライン適用の12月26日以降は販売価格上昇へ
総務省は、改正ガイドラインを2024年12月26日から適用すると発表しています。
そのため、12月26日以降は各キャリアが設定した数年後の買取価格との差額を分割払いする販売方法でスマートフォンを購入する場合、購入価格が上昇することが見込まれます。
年明けの「学割」商戦に激震。総務省の介入でユーザーにメリットは?
改正ガイドラインの適用により、最新モデルのiPhoneがほぼ無料のような金額で販売されることはなくなり、年明けから新年度にかけて、携帯各社が力を入れる「学割」商戦に大きく影響することとなりそうです。
総務省としては、大手キャリアによる端末返却プログラムの規制により、ユーザーの流動性を高めて競争を促進したい考えがあります。総務省の介入により、どの程度ユーザーのメリットにつながる変化が生じるのか、関心を集めることとなりそうです。
Source: 総務省
Photo: 一般社団法人リユースモバイル・ジャパン
Source: iPhone Mania
キャリアのiPhone価格上昇へ!12月26日から総務省が規制強化