Appleは、Vision Proのゲームへの対応を強化するため、ソニーのPlayStation VR2用のハンドコントローラーをVision Proに対応させることで合意して開発が進み、数週間前に発表予定だった、とBloomnbergのマーク・ガーマン記者がニュースレター「Power On」で報じています。コントローラーがOSレベルで対応することにより、ゲームだけでなくVision Proの操作全般に対応可能となる模様です。
ゲーム市場を取り込めていないApple Vision Pro
Apple Vision Proは、2024年2月にアメリカで販売が開始され、日本などでも6月に発売されたものの、これまでの出荷台数は50万台程度で、販売は期待を下回っています。
苦戦の理由として、本体価格の高さや対応アプリの少なさに加えて、ゲームへの対応の弱さがある、とBloombergのマーク・ガーマン記者は指摘しています。
ゲームのために高額な製品を買うユーザーは多いものの、現在のVision Proでできることにお金を払うユーザーは少なく、Vision Proの販売を伸ばすには、ゲームへの対応を充実させる必要がある、というわけです。
Appleがソニーに打診し合意、開発がスタート
Appleは、2024年前半にソニーに打診し、PlayStation VR2用のハンドコントローラーをVision Proに対応させることで合意したそうです。
そして、ソニー内部では数カ月間にわたる作業が続けられたそうです。
Appleは、サードパーティーのゲーム開発者らに対して、ゲームにPS2 VRのコントローラーをサポートするか尋ねており、対応ゲームを増やそうとしている模様です。
ゲームだけでなくOSレベルでサポート
Vision ProやMacなどのApple製品に対応しているPS5やXboxのコントローラーは、Vision Proのような仮想現実(VR)・拡張現実(AR)デバイスには対応していないため、Vision Proの性能を引き出すにはハンドコントローラーが6自由度(6DOF)に対応する必要があります。
PlayStation VR2用のコントローラーのVision Pro対応は、ゲームだけではなく、OSレベルでサポートされるため、Vision Proの操作全般をはじめ、ビジネス分野やメディア編集などのアプリ操作にも利用可能となります。
現在もVision Proで視線と手の動きを追跡しての操作が可能ですが、細かい動作への対応には課題も残ります。
Vision ProをFinal Cut Proでの動画編集や、Adobe Photoshopでの写真編集に対応させるなら、ハンドコントローラーは必要不可欠な存在となるだろう、とガーマン氏は述べています。
予定では数週間前に発表されるはずだった
PlayStation VR2コントローラーのVision Proへの対応は、本来は数週間前(おそらくはホリデーシーズンの前)に発表される計画だったそうです。
ガーマン氏は、遅れの原因には触れていませんが、計画が中止されない限り、いずれ発表されるだろう、とのことです。
また、ソニーは現在、PlayStation VR2用コントローラーを単体で販売していないため、Vision Proに対応させるなら単体販売するための製造・出荷を準備する必要もあります。
すでにApple Storeで販売されているPS5用のコントローラーと同様、PlayStation VR2用コントローラーもApple StoreやAppleオンラインストアで販売されるとみられます。
Vision Pro用の「杖」も開発していた?
AppleのVision Pro開発チームは、数年間かけて、Vision Pro用の「杖」のようなデバイスを開発していたそうですが、専用の操作デバイスを近いうちに発売する計画はないようです。
この「杖」は、ゲーム用というよりはApple Pencilのような精密な操作を可能にするデバイスとのことです。
この開発が行われていたことは、Appleが、目と手の動きを追跡するだけではVision Proのすべての操作に対応できないと認識していることを示している、とガーマン氏は指摘しています。
なお、Vision Proの後継モデルは、M5チップを搭載して2025年に発表されるのではないか、と噂されています。
Source: Power On/Bloomberg
Photo: Sony Interactive Entertainment, PlayStation Japan/YouTube, Apple
Source: iPhone Mania
Apple、ソニーとタッグ!Vision ProがPSVR2コントローラー対応へ